忙中ニコマスあり

アイドルマスター徒然

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第四回一枚絵で書いてみm@ster・参加作品 

・一枚絵の世界



 都内某レッスンスタジオにて。
 トレーニングウェアに身を包んだ如月千早と高槻やよい、二人のアイドルを前に、彼女らを受け持つプロデューサーが今日のレッスン内容を切り出した。

「今日は表現力のレッスンだ」
「はーい?」

 元気に返事をするやよいと裏腹に千早は腑に落ちない表情を隠さない。

「どうした千早?」
「あの、レッスンはわかりましただ、講師の方が見えていないので……」
「言い忘れてた。今日の担当は俺だ」
「えっ」
「うわー、プロデューサーが直接レッスンしてくれるのなんてはじめてですー!」
「だからこうしてジャージを着ているわけだが」
「変だとは思いましたけど……、え、ええ?」
「そこそこ傷つくリアクションが染みるぜ畜生」

「これから始めるのはエチュード、というレッスンを利用したものだ」
「えちゅーど」
「エチュード、練習曲という意味だと思いますが」
「そう、音楽世界ではまさに練習の為に用意された曲といった具合で使われているよな。今回は演劇用語としてのエチュードだ」
「えんげき……何かおしばいをするレッスンなんですか?」
「その通りだやよい」
「ふえっ?」

 ニヤニヤと腕組みをしてやよいをいなすプロデューサー。このやり取りを見て千早は思い至った。

「『何か』……アドリブということですか?」
「ご明察」
「あ! アドリブならわかります! ここぞというときに面白いことを言うことだって春香さんにならいました!」
「それも大事だがやよいにンなこと吹き込んだ春香説教だなそれは。やって見たほうが早いな。じゃあ指示するぞ」
「よ、よろしくおねがいします」
「役柄は考えなくていい」
「はいっ」
「いつも買い物をしているだろう。その時の行動をやってみてくれ」
「え、お買い物ですかぁ、えーとえーと」

 しばし考えた後、やよいは行動に出た。

「こんにちわー! 今日はお魚は何がおいしいですかー!」
「そう」
「へっ?」
「それがエチュードだ」
「でもでも、わたしお芝居なんてしていませんよ」
「買い物でも、ステージで歌っているところでもいい。何か少しの制約以外は何も決めずにで自分で考えて行動する。それを演劇のレッスンにおけるエチュードという」
「ふえー」
「ま、ここまではちょっとした枕だ。千早、歌うことにちゃんと応用が利くから安心しろ」

 完全に考えていた事と一致したのか、千早は決まりの悪い顔をした。





「さ、これが『お題』だ」


kakimaster04_convert_20100504000856.jpg


「すごーい! あたしと千早さんが絵になっています!」
「これは…?」
「この『絵』を前提にいまからお前達に『表現』してもらう」

 難しく考えることはない、とプロデューサーは前置きした。

「先のエチュード、の話通りどんな行動がこの『絵』をもたらしたのか、そこを考えてもらう」






(壊れた船に佇む私……)

(歌を歌う表情は、寂しそう……)

(私はそこで、何の為に歌っているのだろう)

(壊れてしまった船? そこに乗っていた人?)

(ただひたすらに、過ぎていった何かの為に……なんだろう、そんな言葉が)

(だって、そうでなかったら私がを歌をこんな顔で歌うなんて、)

(高槻さんが歌う私を見ている。何て思うだろう……)

  


 
(歌っている千早さんを見ています)


(いつも歌を歌うのが大好きで、真剣に歌っている千早さんが、ちょっとさみしそう)


(あたしって、見ているだけでいいのかな)


(千早さんが歌い終わったら……)





(我ながらまだるっこしい事は承知の上)

(如月千早には、まだまだ小手先に走って欲しくない)

(歌の為に歌うことももちろん必要だが、そうでない表現をまだ今のうちにもっと理解してもらう必要がある)

(高槻やよいはその逆。自分の感性が、相手にどういう影響を与えるのが、感覚で掴みとってほしい)

(可能性は無数。俺の引き出しじゃこれくらいしか思いつかんが、無駄ではないはずだ)








 かくて、千早は歌い佇み、やよいは佇む千早を見つめた。


 どんな物語になるのやら、プロデューサーは二人を注意深く観測し始めた。





・一枚絵の世界   了




このSSはこちらのサイトの企画に参加したものです。
http://triskelion.sakura.ne.jp/ichimai-4.htm
( 2010/05/02 23:55 ) Category SS | TB(0) | CM(6)
他のSSでも「これがあった!!」という作品にいくつか巡り会いましたが、エチュードとはお見事です! 中の人達のラジオ「ラジオdeアイマSTAR☆」でもエチュードが時々取り上げられているのに、何で自分も思いつかなかったのか、拝読させていただき後悔しました。
演劇のワークショップでも、リレー形式、しりとりを用いたエチュードが存在しますから、イラストを元にエチュードは、「アイドルのレッスン」というカテゴリーにも見事治まり、「アイマス度」が高く感じられました! 「羅生門」ばりの3人視点も楽しかったです!
[ 2010/05/04 03:18 ] [ 編集 ]
>月の輪P

こんにちわー。

どちらかというと絵の示す通りの世界観が作れなかったというのもありまして^^; ここはもう完全に力不足。

一枚絵そのものをキャラクターに与えてみました。
[ 2010/05/06 02:35 ] [ 編集 ]
一枚絵を『絵』としてアイドルの前に置く、という手法は、
確か第3回に初めて出た手法だと思います。
手法としては面白いのですが、今度は逆に、
話をどうまとめるかが難しくなる諸刃の剣だと思っています。
そういう意味で言うと、表現力レッスンというスタートにして、
「考える事」そのものに意味を持たせたのは良い手だな、と。
2人を見守るPの姿も優しさに溢れ、気持ちの良い青春を感じました。
3人に、幸多からん事を――。
[ 2010/05/11 09:15 ] [ 編集 ]
>がるしあP

こんにちわ!


このような手段で行く場合は「絵」が「絵」という記号以上の意味を持たないといけないと思いました。

もう少し考えさせたかったのですが時間切れ。反省しきりです。
[ 2010/05/12 01:15 ] [ 編集 ]
はじめまして。「一枚絵」に参加している寓話と申します。
エチュードをメインに各々思考する、やよいと千早とPのお話。
……なのですが、自分はこの作品の登場キャラの中では、
「やよいにアドリブの意味を吹き込んだ春香」が好きですw

一枚絵と向き合い、三人それぞれが難しいことを思考する訳ですが、
難しい雰囲気に入る前に、春香さんが変なことを教えていたくだりで、
プーッと可笑しい空気が流れるのが「いいなあw」と思います。
一枚絵レッスンの難しそうな雰囲気と、ちょっとだけ可笑しい空気の
絶妙なアンバランスさが楽しかったです。
いつになく難関だった第四回の「一枚絵」。お疲れさまでした!
[ 2010/05/13 21:31 ] [ 編集 ]
>寓話さん

こんにちわ~

面白やりとりを考えるのは割と好きです^^
春香さんのすくすく成長する芸人気質に危機感を覚えるPでした。

どうしても絵を主とするストーリーが浮かばず、絵を囲んでキャラクターに思案してもらう方向に今回はシフトして妥協しました。

空気感を気にいって頂けてとても嬉しいです。
[ 2010/05/14 00:48 ] [ 編集 ]
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