忙中ニコマスあり

アイドルマスター徒然

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一時間SS参加作品 

・たるき亭


「すみません、野菜スープ定食とお刺身定食、みぞれ唐揚げ定食と煮魚定食売り切
れでして・・・・・・極厚カツカレー定食だけなんですけど宜しいですか?」
「明らかにそれだけ重たすぎるから敬遠されてるんでしょう!?」

 昼営業中の居酒屋「たるき亭」に、今日が期限の100円割引券を握りしめた事
務員服の女性が悲痛な声をあげた。

 音無小鳥、にじゅうちょめちょめさい。
この年代の新陳代謝にはカツとカレーのダブルパンチはあまりにもリスキーであり、
彼女は泣く泣く割引券をビリリと破くのであった。




 どこにでもあるありふれた居酒屋であるところの「たるき亭」であるが、
昼営業はなかなかの盛況であった。

 ランチメニューが定番どころを押さえていると同時に、一年スパンで考えられている
日替わり定食のメニューが客を飽きさせない。600円~800円と価格帯も近隣の店
比べて努力されており、なおかつ食事をした人に100円割引券が渡される。期限は
その日から一週間と厳しめだが、割引で食事をした時にも新しい割引券がもらえる。
つまり、数珠つなぎで継続していれば100円オフの恩恵を受け続けながらランチを
いただけるという寸法だ。
 と同時に「ここぞ」と決めた日に来店したときに食べたいものが売り切れて券がた
だの紙屑になり果てるケースもありうるという訳だ。

 そんなたるき亭が一階に入っているテナントビルの三階に765プロという芸能事務所
が入っていた。先ほどの音無小鳥はそこの事務員で、定期的にここの昼食を利用して
いる常連だった。

 そしてそこに所属するアイドル候補生やプロデューサー、はては社長まで、この店を
よく利用する。この店で昼食と取っているだけで、自然と765プロの知られざる実態が
見えるって寸法だ。

 『俺』は満足げにお茶のお代わりを所望した。ほら、すぐそこにも『ネタ』が料理し
て下さいとでも言わんばかりに元気にふりまかれてるぜ。

「でこちゃーん、こっちにもお茶が欲しいの!」
「私はこっち!」

「伊織ー! 今日の生姜焼き量が少なくない?」
「真あんたわざをやってるでしょ!」

「伊織ちゃんわたしもお手伝いするよ、あっ!」
「や、やよいまで……」

 さっきから『伊織』と呼ばれ続けているアルバイトの女がおずおずと765の面々に対し
て話しかける。

「あ、あの私そんなに似てないと思います……」
「そーよ! なんだってスーパーアイドル伊織ちゃんが昼からランチ営業の配膳にはげ
む勤労女性みたいなもっともかけ離れた人種と間違えられなきゃいけないわけ!」

「小川さんちょっとメガネ外して見て」
「はい」
「あははははー! そっくりなのー!!!!!」
「だーかーらー!!!!」
「あっ、お客さんあまり騒がないでー!」

 ……ケッサクだぜ。



「なんですかこの記事……」
「どうしたんですかプロデューサーさん……うっわ」

 タブロイド紙の芸能欄の見出しにプロデューサーと小鳥の二人は目を丸くした。

『衝撃! 水瀬伊織の恥ずかしバイト事情!』

「Fランクアイドル水瀬伊織はそのあまりの仕事の無さからついに昼の居酒屋で
バイトを始める始末、水瀬財閥の娘というプライドをかなぐり捨ててまでバイト
に勤しむ姿は涙を誘うものであり云々、あ~またこれでイメージダウンが……」

「きーーーーーーーー!!!!!! これ小川さんの写真じゃないのよ!!!!!!」

「客観的な写真でもどう見ても伊織なんだがな」

「きーーーーーーーー!!!!!!!!」

 伊織にビリビリに破られた新聞を溜息をつきながら片づける小鳥は、記事の後半部
分がちょうど目にとまった。

「……なお筆者のお勧めは刺身定食であり、店主に聞けば築地で自ら目利きをしたも
のをさばいているとのこと、門外漢の当社記者も思わず舌を巻くその出来はまことに
落ち目の765プロにそぐわないものであり……」







「悪徳ぅ~、おめえ究極のメニューでもつくるか? あ?」
「……どうにも筆がぶれちまったい」




・たるき亭   了



企画元サイトはこちらです。→http://ss1hour.wiki.fc2.com//
( 2010/06/18 23:07 ) Category SS | TB(0) | CM(0)
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