忙中ニコマスあり

アイドルマスター徒然

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一時間SS参加作品 

・投げる


「よっ」

 てん、てーんとボールはすぐに地面について転がっていってしまった。定位置から立ち上がったプロデューサーは、ボールを拾い上げ、投手に投げ返した。

「うーん、うまくいかないものなんですね」

 山なりの軌道を描いたボールを胸の前で構えたミットに収めながら、律子はごちた。


「女の子投げとしては百点満点だったがな」

「んなっ、そ、それはともかくとして、始球式とかいう一瞬しかない出番に『あ~アイドルの女の子だ~』とかただ微笑ましく見つめられるだけとかちょっと納得いかないんですよ! 『この始球式に出てきたアイドル、ただ始球式を漫然とこなしているだけではない!』くらいに思わせたいというか……」

「そうか? 俺なんかははよ始まれと思うから全然注目してないなあ」

「こんの野球バカ……仮にもプロデューサーとしてそれはどうなんですかっ」

「いや、だって真面目に投球指導とかも本末転倒だろう?」

「それは、確かに……」

 めざとく事務所の2階からこちらの様子を見つけた双子が窓から顔を出した。

「あー! 律子姉ちゃんが兄ちゃんとキャッチボールやってるー!」
「真美達もまぜてー!」

「遊びじゃないのよ!」
「えー」「うそだー」

「あーお前達にはどう見ても事務所前の駐車場でキャッチボールで遊ぶ大人に見えるだろうが、仕事だ」

「ちぇー」

 ひっこんだ双子の頭をみやりながら律子は溜息をついた。

「まったくもう。こっちは真剣だってのに。いきますよ!」

「おー」

「へやっ!」

 その気合いと裏腹にへろへろとしたボールがプロデューサーのはるか手前でバウンドした。




 おやつのアイスをかじりながら双子は文句を言う。

「やっぱりあれ遊んでるだけだよねー」

「ねー」

「ちがうわよおチビちゃん達……」

「うわっピヨちゃん」

 いつの間にか双子の背後から同じく下を眺めていたが、その瞳からは滂沱の涙を流していた。

「な、なにが違うの……?」

「あれは、青春よっ! 夕日をバックにしてないのが実に惜しい! 惜しいわ!」

 くわっと目を見開いた小鳥に双子はさっぱり意味がわからずただ、「ちょっとキモいな」と同時に思った。




「あっ、今の! 今のはいい感じじゃないですか!?」

(もしかしてミットに届くまでやるつもりか……)

「続けていきますよー!」




投げる   了


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( 2010/05/21 23:22 ) Category SS | TB(0) | CM(0)
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