忙中ニコマスあり

アイドルマスター徒然
月別アーカイブ  [ 2008年01月 ] 

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10年前 

アバンタイトル


例によってフェイは不機嫌であった。
原因、というものはこの際どうでもいい。
とにかくレッドテイルから降り、格納庫を過ぎ、リビングへ向かう間、
彼女の顔は一向に曇ったままである。
重くて狭いマンホールみたいな扉を開けると更に鬱屈となる。
ダッさい・・・。
どうでもいいことを頭の中で毒づくほど、やさぐれていた。

リビングではエドがアインを相手にじゃれている。
アイツはいない。
いたならいたで口喧嘩になるのは目に見えているのだが、
それでもいないというのは、すこし、心に引っかかるモノがある。
そんな考えはおくびにも出さず、扉をくぐった。
乾いた靴音が響く。
「あ、フェイフェイお帰り~」
無邪気にはしゃぐエド、アインも屈託のない顔をこちらに向ける。
フェイは髪を掻き上げた。
「アイツ、いる?」
「アイツって?」
極端に首を傾げるエド、なんだかその仕草が妙に気にくわない。
思わず声を荒げる。

「だから、モサモサの方!」
「どっちの?」

まったく、このジャリガキはどこまで人をおちょくるのだろう。
モサモサといったらこの船、に、は・・・・・・・・・・・・

何かが引っかかる。
聞き直す。
「だから・・モサモサの方」
「だーかーら、どっちの?」
フェイが何かに気づき、言おうとした瞬間、
「なんだ、帰ってきてたのかよ」
何者かががキッチンから顔を出した。
エプロンで手を拭きつつ、その人物は近寄ってきた。
「ジェット~ご飯は~?」
何かエドがその人物の名称を呼んでいる、まぁ待てと答えたりしている、しらないひと。
「まったく、飯の時になると帰ってきやがって、大した稼ぎもしない癖に。
大体お前は・・・・っておい、何でそんなところで寝てるんだ」
「ジェット~、フェイフェイお目目真っ白~」
「ん~?」
その人物は前髪を掻き上げ、呟く。

「腹の減り過ぎかなぁ・・・」


  LOST SESSION



  「セブンヘヤーズ・イン・ジェット」



A-SIDE


欠如、の話をしよう。

人間は本来欠けているものだ。
たとえ五体満足な体であったとしても、その中身、心はどうにもならない。
それが見えるのは食い物に飢えている時かもしれないし、
恋人と別れた時かもしれない。
人によって違いがあるものの、それが自分の中に見えたとき、
大抵は憂鬱になってそれを即時的なモノで解決しようとする。
ギャンブル、買春、ダイエット、整形手術・・・・・。
そう、今鏡に映っている自分の姿を嫌って、
自分の妄想に姿を近づけようとする。
それは単に欠如の上っ面を塞いだに過ぎない。
欠如を抱えて生きていく度胸、それが重要だ。

高い電子音が響く。
「ん」
ぼんやりグリップを握っていたスパイクは我に返った。
中央の液晶画面に表示されている地図に反応があった。
「ビンゴ」
顔は笑っていない
「100万ウーロン、頂きだ」
ペダルを踏み込む
スパイクのソードフィッシュは大きく捻りながら、降下していった。


「ジェット、飯まだなのか?」
ホクホク顔のスパイクがビバップ号に帰ってきた。
が、すぐに場の奇妙さに気づく。
フェイがソファに伸びており、ジェットがその顔に濡れタオルを当てている。
エドもアインもフェイの顔を覗き込んでいる。
何より、飯が出来ていない。
「・・・何だ?」
「見ての通りだよ」
「フェイフェイがねー、ステーンのビローンなのー」
アインも同意するように一吠えする。
「???」
「まったく訳がわからん」
ジェットは髪をボサボサと掻いた。
「帰ってきて、こっちを見るなりひっくり返りやがった」
「そんなに神経細いようには見えねーけど」
「やっぱり腹の減りすぎだな」
「飯の匂い嗅げば起きてくるだろ」
瞬間、スパイクが苦痛の声を上げた。
スパイクの腹にフェイの靴がめり込んでいたのだ。
「聞こえてるわよ」
「・・・お、まえ・・」
「フェイフェイお目覚めー」
「まったく黙って寝てれば勝手な事を・・・」
言いつつ起きるフェイの視界にジェットがが入りそうになる。
「・・・くっ」
生理的に体が反応して顔を背ける。
ジェットは怪訝な顔をした。
「どうしたってんだ?」
「いてて・・・ま、いいだろ。それよりも飯だ、ジェット」
「あ、あぁ・・・」
疑問を残しつつジェットはキッチンへ行った。

メニューは麻婆豆腐。
ジェットは後生大事に冷蔵庫に入れてあった合挽肉も加えた。
本来なら肉無しでいくつもりだったのだが、
フェイの空腹ぶりも気になった。
あの目は、まずい。非常に危険な匂いがする。

4人と一匹は大皿に盛られたそれをめいめい小皿にとって食べ始める。
「いっただっきまーす」
エドとアインが元気に麻婆豆腐を頬張る。
他の三人も腹は減っているので速めのペースで口にスプーンを運ぶ。
スパイクとジェットは今日捕まえた賞金首の話など、他愛の無い話を交わす。
フェイは食べながら、二人を見比べた。
いまだに疑念の色は消えない。
ついに耐えかねて、呟きが漏れ。る
「・・で・・のよ・・」
「なんか言ったか?」
スパイクがフェイに顔を向ける。
「なんで平気でいるのよ・・あんたも、エドも・・」
殆ど涙声。
「おい、フェイ。今日はなんか変だぞ?」
ジェットも声をかける。
「こっちの台詞よっ!」
絶叫。
自分の小皿をスパイクに叩き付ける。
「何なんだよ!?」
いきなりあんかけまみれになればスパイクも怒る。
うつむいたまま、ジェットを指差す。
「こいつ」
こいつ呼ばわりされてジェットはむっとする。
「ジェットがどうしたんだよ?」
スパイクはもはや喧嘩腰。
フェイはゆっくり息を吸って、言った。

「誰なのよ」

沈黙が流れた。
エドも、スパイクも、ジェットも、アインも、
フェイの言った言葉が理解できていなかった。
当のジェットが髪をボサボサしながら苦笑する。
「おいおいフェイ、ジョークにしても面白くな・・・・」
「ボサボサするなああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
またもや意味不明の言葉を叫びつつフェイはテーブルをひっくり返した。
派手な音を響かせ、そのままフェイは暴れ始めた。
ジェットとスパイクは階段の陰まで退避する。
「ジェットさんよう」
「ん?」
「今度から飯は手ぇ抜くなよ」
「むう・・・」

ちゃっかり自分とアインの小皿を持って部屋の隅にエドとアインは隠れる。
スプーンをくわえながらエドはアインを見た。
「こーゆーのを、シュラバって言うんだよ」

フェイは今度はソファを投げ飛ばして、
そのまま昏倒した。



COWBOY BEBAP(FAKE)←アイキャッチ



B-SIDE




「髪よっ!髪っ!!」
フェイは必死の形相で主張した。
因みにいつぞやの様にリビングの柱に軟禁状態である
周りに困った顔のスパイクとジェット。
いつもの能天気顔のエド。
アインは寝ている。
スパイクはげんなりと、
「だからジェットに髪があって何が可笑しいんだよ?」
「違和感ありすぎよっ!!」
「おい、心外だぜこりゃ。俺はそんな年じゃねぇよ」
当のジェットはちょっぴり傷ついた様子。
「ちょっとエド、あんただって可笑しいと思わないわけ?」
「ジェットのアタマは、サラサラでフワフワだよ」
「・・・・・・・・」
既にフェイの顔には何本もの青筋が立っている。
「だーめだ、こりゃ・・・」
スパイクはがっくりと肩を落とした。
「もう俺は風呂入って寝る」
トボトボ歩いていってしまう。
フェイはうつむいてブツブツと呟き始める始末。
ジェットは困り果ててしまった。
「むぅ、参った。どうしたものか・・」
「エドも寝まーす」
どこかへ転がって行った。
「やっぱりメシのせいなのかなぁ・・・」
などと腕組みしていると、
「おーいジェットー、俺のシャンプーが切れちまった」
バスルームからスパイクが叫んだ。
「なら俺のを使ってくれ、棚にあるだろう」

「どれ使えばいいんだ?いっぱい在ってわかんねぇよ」
フェイの呟きが止まった。

「そーだな・・・右から五番目のやつならいいぞ」
「この『ヘアフローラルエッセンス・ラベンダー』か?」
「そうだ。他のやつはストレート系が殆どだからな、お前みたいな
 クセっ毛ならそんなとこだろう」
「お前さんの薀蓄はたくさんだよ・・・」
まもなくシャワーの音がしてきた。
ジェットは苦笑する。
「まったく、奴の無頓着もいいところだ。髪は洗えばイイってもんじゃない。
 いたわる事が重要・・・・ってオイ!何で吐いてるんだフェイ!!」

自我を保てなくなったフェイが白目を剥いて嘔吐していた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「絶対に変なのよ」
フェイは寝静まったビバップ号の通路で呟いた。
ようやくショック状態から立ち直って、
いつもの方法で戒めを解き、今に至っている。
リビングではアインが手錠を足に掛けられブラリとしていた。
「ミンナしてかつごうってんだわ、そうに違いないわ」
ジェットの部屋の前に立つ。
こんな時の侵入は手馴れたもので、
寝ているジェットの所まで気配を殺して近寄る。
そっと、髪に手を触れる。
「うっ!?」
思わず声を出しそうになる。
サラサラなのだ、ものすごく。
なんだか別の感情も沸いてきた。
女としての、単純な嫉妬。
「絶対カツラかなんかよ・・・そうなんだわ」
意を決して、その髪をつかみ、引っ張ろうとした時、
「やめておけ」
頭に硬いものが押し付けられた。
「冗談も程ほどにしろにしろ、どうなるか判ってるだろ?」
底冷えのする声で、スパイクは言った。
「冗談はどっちよ?」
フェイはなぜスパイクがここにいるかなど疑いもしない。
「どうもおかしいと思ったんだ。危ないところだったな」
「この物騒なモノ仕舞いなさいよ」
「お前の手を離すほうが先だ」
フェイはまたしてもキレた。
「引っ張ったらどうなるってのよ!!」
「あっ!!」
スパイクが止める間もなくフェイはジェットの髪を引いた。
すっ・・・。
その手ごたえのなさに勢いあまって床に倒れる。
「???・・・ほ、ほら見なさいよ!やっぱりカツラじゃない!」
フェイは握っている髪の毛を示した。
しかしスパイクは苦りきった表情で指を指した。
「よく見るのはお前の方だ」
「へ?」
その髪を見てみる。
カツラにしては量が少ない。
上から下へ目を落とすと、

髪に終わりがない。

「だ、だから・・・・引っ張ると・・・・」
恐る恐る視線を髪に沿って動かす。
「引っ張ると・・・・・」
手がガクガクしている。
其処には目を細めてこちらを見ているジェットの顔があった。
それは言った。



「伸びるんだよ」



フェイの瞳孔がきゅっと縮小し、

ビバップ号に渇いた銃声3発。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・い!おい!!」
「がはぁっ!!」
フェイは飛び起きた。
あたりを急いで見まわす。
いつものリビング。
スパイク、エド、アイン・・それに・・・ジェット。
「・・・・何よ」
「もう地球に着いたってんだよ」
スパイクがぶっきらぼうに言った
「フェイフェイお目覚めー」
エドがアインを振りまわしながら言った。
「まったく、食うだけ食ってグースカ寝やがって、大層なご身分だよ」
皮肉を言うジェットをフェイはしげしげと見た。
「何だよ、気色の悪い奴だなぁ?」
しばらくぼーっとした後、フェイは言った

「・・・・はげ」



それからというもの、フェイは少し長くシャワーを浴びるようになった。


それだけの、話





N・G       
( 2008/01/01 21:49 ) Category 未分類 | TB(0) | CM(0)

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