忙中ニコマスあり

アイドルマスター徒然

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4月1日……? 

夢を、みていたんです。

厨二感たっぷりの文章を書きなぐっている夢を……。
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( 2009/04/02 00:07 ) Category 未分類 | TB(0) | CM(2)

イベント 『じっくり語り語られてみよう』に参加しようとして,作品について語るつもりでした.が、大遅刻の為お題提出者のDricasPが既に回答されています(この段階で回答は読んでいません)。よって、本エントリは当企画の方針に沿って記事を書いていますが、ゲリラ参加であることをご了承ください。作品へのネガティブな表記・ネタばれを含む場合がありますが,イベントの趣旨に乗った上での記述とご理解ください.
他の方の語り記事一覧 → 『No.22: 春香 Catch Up Dream!

DricasPの巻

 動画のストーリーラインは、DricasPの言う通り、凛々しく衣装を纏った春香が、歌が大好きな春香(私服)を思い出し、ステージを遂げ、自信を胸に別れの時を迎えると言った按配に取れる。(但し春香Aランクアップコミュ動画を踏まえた上)

 アイマスの衣装でも「私服」というのは面白い。数多の衣装を選ばず、私服でステージに立つというのは正に比喩でもなんでもなく素の自分を見せることに他ならないのだから。

 コミュ動画の配置、前向きな曲調にピッタリのダンス、表情選択。そしてトップアイドルの春香は、歌が大好きな女の子天海春香と手をつなぎ、ラストコンサートを駆け抜けていく。

 ……というのが、表現としてのこの動画の感想である。


 一周回って、「君は誰の事でしょう?」の回答がここから見つかる。
DricasPの解説したストーリーに沿うのなら、これは春香がふと想いを馳せた「歌が大好きな私」を「君」と呼んだ。「自分」と呼ばない、という事はそういう事である。

 ここで私はあえて「沿うのなら」なんて言い方をしたのは、動画のみを判断材料にして、公式に提示されたストーリーラインを無視した考察を、初めにうっかり、やらかしてしまったからである。

 これを「キリっ!」として提出していたのなら、飛んだ恥かき者になるところだった。それも会って、改めて考察し直す時間が中々取れず書き上げるのに時間がかかってしまった。


 これから先の文章は、その最初にやらかしてしまった考察を再構成したもであるので、興味のある方だけ読んで頂きたい。



●「君」を比喩として捉えない。

 Pは春香との約束通り、自分のプロデューサー道を駆け抜ける。
 いつからだろう、駆け抜けるだけになっていたのは。日々を過ごすPの胸からはいつしかあの子の姿が薄れていく。

 春香はPとの約束通り、自分のアイドル道を駆け抜ける。
 いつからだろう、駆け抜けるだけだけになっていたのは。日々を過ごすその春香の胸にいつしかあの人の姿が薄れていく。

 
 きっかけはなんだったのか。ふと、顔をなでる穏やかな風に顔を上げたのだ。本当に、何気なく。

 そこに映るのは、一線で輝くその人。

 彼、彼女は改めて問う。「自分は何故、何の為にこれまでやってきたのか」
 それはまさに、雪解けの後に芽吹く春の息吹。ここまでやってこれた自分が、もし再び手をつないだのなら、あの日見た夢のその先、輝かしい未来が待っているに違いない。

( 2009/01/09 00:23 ) Category 未分類 | TB(0) | CM(0)

【2008.11.4】はじめましてのテスト投稿 

人々もすなるニコマスPのブログといふものを私もしてみむとてするなり。




『ニコマスP』
三つのファクターから構成されている言葉。


ニコ……動画サイト「ニコニコ動画」のこと。


マス……X-BOX360のゲームを中心に展開している、バンダイナムコの「アイドルマスター」のこと。「アイマス」と略して呼ばれることが多い。


ニコマス……ニコニコ動画にアップロードされるアイドルマスターのゲーム映像を使った動画、という意味で大まかなジャンル名として認識されている。
既存アーティスト曲を使った音楽PVや、キャラクターを使ったストーリー動画等、その種類は千差万別である。


P……プロデューサーの意。ゲームにおいて、プレイヤーはアイドルを育成するプロデューサーとして、一年間の活動に勤しむ。その際プレーヤーの名前表示は「~P」となる為、それをそのままインターネット上のハンドルネームとして利用している場合が多い。



ニコマスPというのは、『ニコ』ニコ動画でアイドル『マス』ターのゲーム映像を利用した自主制作動画を発表している『P』roducerのことを指す。


ニコマスP同士の交流は非常に活発で、インターネット上におけるインフラ整備も詳細に行なわれている(これも有志でそういった方向に特化して参加している人等も居る)

参考URL
「The iDOL M@STER ニコニコ動画まとめWiki」
膨大な情報量を誇るwiki。記載されているニコマスPは2000名を超えている。

「アイマスMADを中心としたコミュニティの発展に関する研究」
時間のある方には是非読んで頂きたい。この「ニコマス」という界隈が非常に興味深いものであることが分かる





私がニコマスPとして「かがたけP」と名乗り日曜大工的なノリで動画制作を始めたのが本年5月。
もきもき作りつつ、制作用のPCが壊れ環境再構築がてらブログも開設してみようと思った次第。

うむ、やはり界隈の符丁をできる限り使わないで記事を書くのは難しいですな。

とりあえずテストまで。リンクその他はおいおい増やしていきませう。
( 2008/11/04 11:23 ) Category 未分類 | TB(0) | CM(0)

6年前 

・いくつかのポップス





 全身が羽根に覆われたよう。


 これほどまでに心は軽くなるものなのだ。


 そう・・・・


 それを境に、私の時間は、きっちりと終わりを指し示すようになった。


 私を常につつんでいた眠気も、今はもうない。






 とある、冬の休日。


「じん、ぐべー、じん、ぐべー、すずがーなーる・・・」
「何?その歌」


 妙な鼻歌を歌いながらテーブルを拭いているラッカに、ヒカリは問うた。


「なんかね、『くりすます』ていうお祭りの歌なんだって」
「?」
「この間ね・・・・」


 ラッカ曰く、先日ネムの図書館で借りる本を物色していたところ、一つの本が目に入った。
 赤い装填に惹かれ、手にとって見ると、タイトルの所はかろうじて、

 『くりすます』

 と読めた。

 開いてみると、どうやら絵本の類らしい。文面もかすれてほとんど読めなかった。
 そこで興味を示したネムと一緒にこの絵本のストーリーを想像してみようということになったというのだ。

 
 まずざっと見、冬になにか特別なことがある。といった趣旨のよう。
 巻末に、『くりすますのうた』と読める部分があり、子供達が輪になって、ちょうど過ぎ越しの祭りのパーティのようにご馳走を並べた部屋で歌っているような場面があった。
 
 その場面からさっするにその絵に載っている文は歌詞であり、「くりすます」という何かのお祭りに歌う歌ではないかと、ネムは推測したという。

「でね、出だしだけなんとか読めたの、じん、ぐべー、じん、ぐべー、すずがなるー、って」
「うーん」
「音程はわたしがつけてみた」
「やっぱり」
「すずがーなーるってところ、過ぎ越しの祭りっぽいよね」

 確かに、『冬』に『鈴が鳴る』のは共通しているとも言える。 

「その前のじん、ぐべーがよくわかんないけどね」
「きっと何か小粋な掛け声なんだよ!ほらいうじゃない、チェストー!とか」
「そ、そうなのかな・・・」
 
 でも、過ぎ越しの祭りに何かみんなで決まった歌を歌うというのは、楽しそうかもしれないと、ヒカリは思った。
 カナなんかノリノリで大騒ぎしそうだ。

「それとね、もう一つね」

 急にラッカのトーンが落ちる。

「何?」
「ちょっと・・・不思議なことがあるの。その本。というか、そのせいで私もネムも読んでみたくなったんだけど」
「どういうこと?」
「実はここに本、あるんだけど」

 椅子にかけてあった自分の手提げから件の本を取り出すラッカ。

「見てみて」

 ヒカリは、ラッカの指し示すページを覗き込んでみた。

 そこには、眠っている子供の枕元にに赤い服の大きな袋抱えたおじさんが立っているという絵だった。

「どろぼう、さん?」
「違う違う」
 珍しくツッコミに回るラッカ

 そのおじさんは枕元に掛けてある子供のものと思しき靴下の中に、何かの包みを入れている最中のようだった。

 まるでそれを期待しているかのように素敵な寝顔で眠っている女の子。

 その寝顔は・・・。

「あ」
「そうなの」

 ヒカリの漏らした声にラッカは同意する。

「ネム・・・だよね?」





「ジングル・ベル、ジングルベル、鈴がーなるー」
「ベタだけど、いいね」
「でしょ?この旋律は大発明ね。この曲さえ流れれば、街はお手軽にお祭り気分に浸れるんだから」
「しかしまあ、今年はそうもいかないよな」
「もう大詰めの段階だもんねー。ま、私は心配なんかしてないけど」
「放任主義だなあ、逆にプレッシャーだよ」
「ふふ」
「・・・なあ」
「ん?」
「待ってるからな。お前は来ないなんて、ナシだぞ」
「・・・・・」
「おーい、聞いてる?」
「・・・・って」
「何?」
「もう一回いって」
「や、やだよ!」


 結局、その日彼はその言葉を言わずに遣り過ごした。




「・・・・」

 ラッカは別のページをめくる。
 一番最後の、「歌」のページだった。

「は、ははは・・・」

 ヒカリは笑った。笑うより他ないかのように。
 それを察してか、ラッカは口を開いた。

「私とネムは、そうだと思ってる」
「うん、私もそう思うな。カナも絶対、そういうはず」
「やっぱりね」

 ラッカは立ち上がった。そしてベランダの方へと歩いていく。
 冬にしては今日はよく晴れている。
 ヒカリの方を振り返らずにポツリと切り出した。

「ヒカリ・・・」
「なに?」
「今年も過ぎ越しの祭り、思いっきり楽しく過ごそうねっ」
「なーに、泣いてるのよお、ラッカ」

 裏返って、今にもくずれそうな声で、それでも精一杯言葉を紡ごうとしているラッカにヒカリは笑いかけた。
 振り返るラッカ。顔をくしゃくしゃにしながら、笑っている。

「そんな、ヒカリこそ、泣いてるじゃない・・・・・」

 ヒカリはもう一度テーブルに置いてある本に目を落とす。


 歌のページ、赤い服のおじいさんと一緒に楽しそうに歌っている子供達。


 羽と光輪がなくても、


 その子供達は、


「ねえ?」

 ラッカとヒカリは二人して笑った。思いっきり。


 笑いすぎてむせたヒカリの背中をラッカはさすったりした。


「そろそろ行こうか?カナ達、まってるよ」





「・・・・よう」
「・・・」
「ひどいもんだろ・・・これつけてないと、あっという間に楽になれるんだと」
「・・・」
「・・・・ごめんな」
「え?」
「・・・・待っててやるっていったのにな」
「・・・」
「せめて、俺が向こうに行くまで」
「絶対に離れないっ」
「・・・・・なーに泣いてるんだよ、お前」
「・・・そっちこそ」

 最後まで、見届けるんだ、私は。






 過ぎ越しの市は、合いも変わらず盛況だ。
 人ごみを縫うように、ラッカたちは進む。

「これこれっ」

 鈴の実の露店の一つにたどり着き、ラッカは慎重に品定めを始めた。

「おっ、ラッカも通になってきたなあ」
 カナは関心しながら、自分も鈴の実を手に取る。
「これなんか、どうよ?」

 カラ カラ

 乾いた心地よい音をたてる鈴の実

 耳を澄ませながら、ラッカは口ずさむ。

「じん、ぐベー、じん、ぐべー、すずがーなーる・・・」
「?何それ?」
「過ぎ越しのうた。今きめた」

 それを聞いて同時に吹き出すネムとヒカリ、お互いの反応が被ったことに双方驚く。

「なんだ?なんだ?ネムもヒカリもカラスが豆鉄砲くらったような顔して?」

 そういった一切のことを受けて、ラッカは微笑み、ウインク一つ。

「ああっ!無駄に可愛い!?」

 混乱の末萌えに目覚めるカナ。






 その日は桃缶を食べさせてあげようと思っていた。
 桃缶は何故か万病の薬のイメージがある。

 今でこそ桃缶なんて簡単に買える、ありふれたものなのだけど。
 むかしから「桃缶は特別」というイメージだけが先行して、私達の中に根付いている。

 じっさい美味しいんだけどねー。

 うんぬん考えながら、病院への道のり。
 カバンともう一つ、スーパーの袋。

 病室にフォークってあったっけ?

 自動ドアを通り抜け、エレベーターに向かう。




 その時だった。
 


 私の世界は、唐突に幕が下ろされた。






 別の冬の日



「あ~だるい・・・」
「レキ、風邪?」
「んーそうみたい」
「桃缶食べときなさい桃缶」
「も、桃缶?」
「そう、昔から言わない?風邪には桃缶って」
「へーえ・・・」
「私は今日仕事遅くなるから、ヒカリに買って帰るよう言っとくから。暖っかくしとくのよ」
「わるいね・・・・」
「お大事にー」






 気がつくと、私は寝ていた。





 寝ているのに、私は気がついていた。






 気がついたのは、私が寝ている私を見下ろしていることだった。






 お父さんや、お母さん、それにお医者さんや、看護師さんが私の周りを囲んでいる。





 急速にその映像さえ、不鮮明になっていく。





 自分が、消えていく、考えが、まとまらない、





 でも、




 わ、たしは、


 まだ、


 やらなきゃいけないことが、ある、のに




 さい ご ま  で    そばに    いるっ    て




 やく      そ















 気がつくと、私は寝ていた。



 他愛のない夢。




 夢をみていないといけないのに、寝ているなんて。



 でも、眠いんだから、しょうがないじゃない・・・・・




 寝返りをうとうと、フワフワの中で身をよじらせたら、



 バリバリと、床がくずれていった。









 皆で歌い、食べ、笑い、
 盛り上がりに盛り上るゲストルーム。

 ネムは一つあくびをして、そっとその場を後にした。










 この絵本だって、

 その絵が、例えレキにしか描き得ない愛情に溢れていたとしても、

 彼女が描いたという保障はない。




 それでも私は信じるよ?




 何年たっても、

 私達がどこにいたって、

 忘れないんだ。こんな風にみんなでいて、笑い、泣き、語りあったことを。





 西の空が光った気がする。





 私は、忘れない。



  ○

    ○

       ○

          ○  

             ○

                 ○


             「むにゃむにゃ・・・もうたべられないよ・・・でもおかわり~」
             「どんな夢みてんだか・・・」
             「もうラッカったら、風邪ひくよ」
                       
              オールドホームが、また一つ年を重ねる。





                       ○   お   わ   り   ○
( 2008/01/01 21:59 ) Category 未分類 | TB(0) | CM(0)

10年前 

アバンタイトル


例によってフェイは不機嫌であった。
原因、というものはこの際どうでもいい。
とにかくレッドテイルから降り、格納庫を過ぎ、リビングへ向かう間、
彼女の顔は一向に曇ったままである。
重くて狭いマンホールみたいな扉を開けると更に鬱屈となる。
ダッさい・・・。
どうでもいいことを頭の中で毒づくほど、やさぐれていた。

リビングではエドがアインを相手にじゃれている。
アイツはいない。
いたならいたで口喧嘩になるのは目に見えているのだが、
それでもいないというのは、すこし、心に引っかかるモノがある。
そんな考えはおくびにも出さず、扉をくぐった。
乾いた靴音が響く。
「あ、フェイフェイお帰り~」
無邪気にはしゃぐエド、アインも屈託のない顔をこちらに向ける。
フェイは髪を掻き上げた。
「アイツ、いる?」
「アイツって?」
極端に首を傾げるエド、なんだかその仕草が妙に気にくわない。
思わず声を荒げる。

「だから、モサモサの方!」
「どっちの?」

まったく、このジャリガキはどこまで人をおちょくるのだろう。
モサモサといったらこの船、に、は・・・・・・・・・・・・

何かが引っかかる。
聞き直す。
「だから・・モサモサの方」
「だーかーら、どっちの?」
フェイが何かに気づき、言おうとした瞬間、
「なんだ、帰ってきてたのかよ」
何者かががキッチンから顔を出した。
エプロンで手を拭きつつ、その人物は近寄ってきた。
「ジェット~ご飯は~?」
何かエドがその人物の名称を呼んでいる、まぁ待てと答えたりしている、しらないひと。
「まったく、飯の時になると帰ってきやがって、大した稼ぎもしない癖に。
大体お前は・・・・っておい、何でそんなところで寝てるんだ」
「ジェット~、フェイフェイお目目真っ白~」
「ん~?」
その人物は前髪を掻き上げ、呟く。

「腹の減り過ぎかなぁ・・・」


  LOST SESSION



  「セブンヘヤーズ・イン・ジェット」



A-SIDE


欠如、の話をしよう。

人間は本来欠けているものだ。
たとえ五体満足な体であったとしても、その中身、心はどうにもならない。
それが見えるのは食い物に飢えている時かもしれないし、
恋人と別れた時かもしれない。
人によって違いがあるものの、それが自分の中に見えたとき、
大抵は憂鬱になってそれを即時的なモノで解決しようとする。
ギャンブル、買春、ダイエット、整形手術・・・・・。
そう、今鏡に映っている自分の姿を嫌って、
自分の妄想に姿を近づけようとする。
それは単に欠如の上っ面を塞いだに過ぎない。
欠如を抱えて生きていく度胸、それが重要だ。

高い電子音が響く。
「ん」
ぼんやりグリップを握っていたスパイクは我に返った。
中央の液晶画面に表示されている地図に反応があった。
「ビンゴ」
顔は笑っていない
「100万ウーロン、頂きだ」
ペダルを踏み込む
スパイクのソードフィッシュは大きく捻りながら、降下していった。


「ジェット、飯まだなのか?」
ホクホク顔のスパイクがビバップ号に帰ってきた。
が、すぐに場の奇妙さに気づく。
フェイがソファに伸びており、ジェットがその顔に濡れタオルを当てている。
エドもアインもフェイの顔を覗き込んでいる。
何より、飯が出来ていない。
「・・・何だ?」
「見ての通りだよ」
「フェイフェイがねー、ステーンのビローンなのー」
アインも同意するように一吠えする。
「???」
「まったく訳がわからん」
ジェットは髪をボサボサと掻いた。
「帰ってきて、こっちを見るなりひっくり返りやがった」
「そんなに神経細いようには見えねーけど」
「やっぱり腹の減りすぎだな」
「飯の匂い嗅げば起きてくるだろ」
瞬間、スパイクが苦痛の声を上げた。
スパイクの腹にフェイの靴がめり込んでいたのだ。
「聞こえてるわよ」
「・・・お、まえ・・」
「フェイフェイお目覚めー」
「まったく黙って寝てれば勝手な事を・・・」
言いつつ起きるフェイの視界にジェットがが入りそうになる。
「・・・くっ」
生理的に体が反応して顔を背ける。
ジェットは怪訝な顔をした。
「どうしたってんだ?」
「いてて・・・ま、いいだろ。それよりも飯だ、ジェット」
「あ、あぁ・・・」
疑問を残しつつジェットはキッチンへ行った。

メニューは麻婆豆腐。
ジェットは後生大事に冷蔵庫に入れてあった合挽肉も加えた。
本来なら肉無しでいくつもりだったのだが、
フェイの空腹ぶりも気になった。
あの目は、まずい。非常に危険な匂いがする。

4人と一匹は大皿に盛られたそれをめいめい小皿にとって食べ始める。
「いっただっきまーす」
エドとアインが元気に麻婆豆腐を頬張る。
他の三人も腹は減っているので速めのペースで口にスプーンを運ぶ。
スパイクとジェットは今日捕まえた賞金首の話など、他愛の無い話を交わす。
フェイは食べながら、二人を見比べた。
いまだに疑念の色は消えない。
ついに耐えかねて、呟きが漏れ。る
「・・で・・のよ・・」
「なんか言ったか?」
スパイクがフェイに顔を向ける。
「なんで平気でいるのよ・・あんたも、エドも・・」
殆ど涙声。
「おい、フェイ。今日はなんか変だぞ?」
ジェットも声をかける。
「こっちの台詞よっ!」
絶叫。
自分の小皿をスパイクに叩き付ける。
「何なんだよ!?」
いきなりあんかけまみれになればスパイクも怒る。
うつむいたまま、ジェットを指差す。
「こいつ」
こいつ呼ばわりされてジェットはむっとする。
「ジェットがどうしたんだよ?」
スパイクはもはや喧嘩腰。
フェイはゆっくり息を吸って、言った。

「誰なのよ」

沈黙が流れた。
エドも、スパイクも、ジェットも、アインも、
フェイの言った言葉が理解できていなかった。
当のジェットが髪をボサボサしながら苦笑する。
「おいおいフェイ、ジョークにしても面白くな・・・・」
「ボサボサするなああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
またもや意味不明の言葉を叫びつつフェイはテーブルをひっくり返した。
派手な音を響かせ、そのままフェイは暴れ始めた。
ジェットとスパイクは階段の陰まで退避する。
「ジェットさんよう」
「ん?」
「今度から飯は手ぇ抜くなよ」
「むう・・・」

ちゃっかり自分とアインの小皿を持って部屋の隅にエドとアインは隠れる。
スプーンをくわえながらエドはアインを見た。
「こーゆーのを、シュラバって言うんだよ」

フェイは今度はソファを投げ飛ばして、
そのまま昏倒した。



COWBOY BEBAP(FAKE)←アイキャッチ



B-SIDE




「髪よっ!髪っ!!」
フェイは必死の形相で主張した。
因みにいつぞやの様にリビングの柱に軟禁状態である
周りに困った顔のスパイクとジェット。
いつもの能天気顔のエド。
アインは寝ている。
スパイクはげんなりと、
「だからジェットに髪があって何が可笑しいんだよ?」
「違和感ありすぎよっ!!」
「おい、心外だぜこりゃ。俺はそんな年じゃねぇよ」
当のジェットはちょっぴり傷ついた様子。
「ちょっとエド、あんただって可笑しいと思わないわけ?」
「ジェットのアタマは、サラサラでフワフワだよ」
「・・・・・・・・」
既にフェイの顔には何本もの青筋が立っている。
「だーめだ、こりゃ・・・」
スパイクはがっくりと肩を落とした。
「もう俺は風呂入って寝る」
トボトボ歩いていってしまう。
フェイはうつむいてブツブツと呟き始める始末。
ジェットは困り果ててしまった。
「むぅ、参った。どうしたものか・・」
「エドも寝まーす」
どこかへ転がって行った。
「やっぱりメシのせいなのかなぁ・・・」
などと腕組みしていると、
「おーいジェットー、俺のシャンプーが切れちまった」
バスルームからスパイクが叫んだ。
「なら俺のを使ってくれ、棚にあるだろう」

「どれ使えばいいんだ?いっぱい在ってわかんねぇよ」
フェイの呟きが止まった。

「そーだな・・・右から五番目のやつならいいぞ」
「この『ヘアフローラルエッセンス・ラベンダー』か?」
「そうだ。他のやつはストレート系が殆どだからな、お前みたいな
 クセっ毛ならそんなとこだろう」
「お前さんの薀蓄はたくさんだよ・・・」
まもなくシャワーの音がしてきた。
ジェットは苦笑する。
「まったく、奴の無頓着もいいところだ。髪は洗えばイイってもんじゃない。
 いたわる事が重要・・・・ってオイ!何で吐いてるんだフェイ!!」

自我を保てなくなったフェイが白目を剥いて嘔吐していた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「絶対に変なのよ」
フェイは寝静まったビバップ号の通路で呟いた。
ようやくショック状態から立ち直って、
いつもの方法で戒めを解き、今に至っている。
リビングではアインが手錠を足に掛けられブラリとしていた。
「ミンナしてかつごうってんだわ、そうに違いないわ」
ジェットの部屋の前に立つ。
こんな時の侵入は手馴れたもので、
寝ているジェットの所まで気配を殺して近寄る。
そっと、髪に手を触れる。
「うっ!?」
思わず声を出しそうになる。
サラサラなのだ、ものすごく。
なんだか別の感情も沸いてきた。
女としての、単純な嫉妬。
「絶対カツラかなんかよ・・・そうなんだわ」
意を決して、その髪をつかみ、引っ張ろうとした時、
「やめておけ」
頭に硬いものが押し付けられた。
「冗談も程ほどにしろにしろ、どうなるか判ってるだろ?」
底冷えのする声で、スパイクは言った。
「冗談はどっちよ?」
フェイはなぜスパイクがここにいるかなど疑いもしない。
「どうもおかしいと思ったんだ。危ないところだったな」
「この物騒なモノ仕舞いなさいよ」
「お前の手を離すほうが先だ」
フェイはまたしてもキレた。
「引っ張ったらどうなるってのよ!!」
「あっ!!」
スパイクが止める間もなくフェイはジェットの髪を引いた。
すっ・・・。
その手ごたえのなさに勢いあまって床に倒れる。
「???・・・ほ、ほら見なさいよ!やっぱりカツラじゃない!」
フェイは握っている髪の毛を示した。
しかしスパイクは苦りきった表情で指を指した。
「よく見るのはお前の方だ」
「へ?」
その髪を見てみる。
カツラにしては量が少ない。
上から下へ目を落とすと、

髪に終わりがない。

「だ、だから・・・・引っ張ると・・・・」
恐る恐る視線を髪に沿って動かす。
「引っ張ると・・・・・」
手がガクガクしている。
其処には目を細めてこちらを見ているジェットの顔があった。
それは言った。



「伸びるんだよ」



フェイの瞳孔がきゅっと縮小し、

ビバップ号に渇いた銃声3発。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・い!おい!!」
「がはぁっ!!」
フェイは飛び起きた。
あたりを急いで見まわす。
いつものリビング。
スパイク、エド、アイン・・それに・・・ジェット。
「・・・・何よ」
「もう地球に着いたってんだよ」
スパイクがぶっきらぼうに言った
「フェイフェイお目覚めー」
エドがアインを振りまわしながら言った。
「まったく、食うだけ食ってグースカ寝やがって、大層なご身分だよ」
皮肉を言うジェットをフェイはしげしげと見た。
「何だよ、気色の悪い奴だなぁ?」
しばらくぼーっとした後、フェイは言った

「・・・・はげ」



それからというもの、フェイは少し長くシャワーを浴びるようになった。


それだけの、話





N・G       
( 2008/01/01 21:49 ) Category 未分類 | TB(0) | CM(0)

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